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笹瀬 雅人; 佐藤 高広*; 岡安 悟; 倉田 博基; 北條 喜一
Advances in Superconductivity XII, p.314 - 316, 2000/00
重イオンによる固体中でのエネルギー付与は、高エネルギーで高密度電子励起により、低エネルギーで原子変位により行われる。金属の場合電子励起は損傷形成に寄与しないが、半導体や絶縁体、超伝導体で円柱状欠陥を形成する。特に酸化物高温超伝導体の場合、この円柱状欠陥が磁束のピン止め点として有効に作用し、Jの向上を促す。酸化物超伝導体中に形成される円柱状欠陥の形成機構を明らかにするために、照射イオンのエネルギー付与量(dE/dx)の効果を電顕観察により調べ、観察結果の理論的な考察をTime Dependence Line Source Model (TDLSM)により行った。その結果、照射エネルギーの増加とともに、円柱状欠陥の直径が8.4nm~16nmに変化した。この電顕観察結果とTRIMコードにより計算したdE/dxをもとに、TDLSMにより円柱状欠陥生成に必要なエネルギー付与量を計算した。イオン照射により付与されたエネルギーの1/3が円柱状欠陥生成に寄与していた。
佐藤 高広*; 笹瀬 雅人; 岡安 悟; 北條 喜一
Advances in Superconductivity XII, p.362 - 364, 2000/00
点欠陥と超伝導特性の関係を明らかにする目的で、低エネルギー軽イオン照射実験を行った。Eu系薄膜超伝導体に45KV He,22.5KV Hイオンを照射し、格子定数、T,J等について測定した。その結果、dpaの増加とともに格子定数は増加し、Tは減少した。また、JはHeイオン照射時において高磁場(1~2T)下で上昇する特異な現象が観察された。この現象がHeイオン照射による構造変化の内で何に起因するかまだ明らかにすることはできなかった。